内縁関係 

●内縁とは
 法律には内縁関係の定義がありませんが、次のように解釈されています。
婚姻の意思と共同生活(同棲)の実態がありながら、婚姻届を出していない状況を内縁関係といいます。例えば、相続の割合が下がる子供から反対されているとか、働いている間は、夫婦別姓を維持したい等の事情があり婚姻届を出していないため、法律上は夫婦とは扱われないでいる場合です。

●内縁関係を不当に破棄すると
 内縁関係を不当に破棄した場合も、破棄した側は婚姻の破棄(離婚)と同じような責任が生じてきます。
内縁破棄の責任については、婚約の不履行責任と解釈されたり、不法行為責任と解釈されたり、判例も状況によって不当に破棄した者に慰謝料の支払い等の責任を認めています。
 ここで問題なのは、内縁関係が成立していたのかどうかです。なぜならば、
内縁であることを証明できないと、婚約不履行(破棄)のとき、婚約を証明することができない時と同じように、破棄した側の賠償責任を問いにくいからです。

例えば、
男女が同棲しているからといって、内縁の妻(夫)と判断されるわけではありません。ただの同居人と解釈されることもあります。
逆に、
夫婦別姓のために、婚姻届をださない夫婦は、住民票上は、「未届の妻」と記載することが多いようです。このケースの場合は、比較的、内縁関係の証明がしやすいと思われます。

●法律上の夫婦と内縁関係の違い

内縁の配偶者には、相続権がない
内縁関係にある男女から生まれた子供は、非嫡出子と扱われる。
 その内縁関係にある男女から生まれた子(非嫡出子)は、父から認知をしてもらえれば、父の財産を相続できます。しかし、その父に他に実子(嫡出子))がいる場合には、その認知された子(非嫡出子)は、実子(嫡出子)の2分の1を相続できるにとどまります。


法律上の夫婦と内縁関係に共通する点

@同居協力扶助義務(内縁の不当破棄は許されない)
A貞操義務(婚約者同士でも貞操義務はある)
B婚姻費用分担義務 
C健康保険法等では、内縁関係にある者を配偶者に含まれるものとして扱っています。

●内縁の解消
 内縁の解消は当事者双方の合意によって、できます。
また内縁は離婚とは違って形式的要件(届出)が不要ですから、正当事由があろうがなかろうが、一方的な意思表示もしくは行為によって解消できます。
正当事由とは、不貞、悪意の遺棄、虐待・侮辱、夫婦生活を送るに耐え難い健康状態などです。しかし正当事由がなく、一方的に内縁を解消すると内縁の不当破棄がなされた場合、不当に破棄した者は慰謝料等の損害賠償責任を負うことになります。

●内縁関係の破棄でもめたら
婚約不履行のとき調停を申立てができるように、内縁関係の不当破棄も家庭裁判所に調停を申立てることができます。
内縁関係円満調整       
内縁関係解消請求
この2つも家庭裁判所で取り扱います。
 なお、内縁解消は、「その他一般に家庭に関する事件」として家庭裁判所の調停事件となるとされていますので、内縁の不当破棄に基づく損害賠償についても家庭裁判所の調停事件となりえますが、実務では損害賠償事件として訴訟を提起することが多いようです。
家庭裁判所に調停を申し立てた場合でも、民事調停裁判所に移送されることがあります。
 なお、調停などによる慰謝料の額は、正式な夫婦の場合よりもやや少ない傾向があるようです


●内縁解消と財産分与
 内縁については婚姻に準ずる関係として、二人の共有財産がある場合には、財産分与の対象となります。 不当破棄の場合はもちろん、合意あるいは正当事由による内縁解消の場合でも財産分与請求ができます
話し合いがまとまらない場合には、内縁関係での財産分与請求の調停を申し立てることができます。
 他方で、死別による内縁解消の場合には、判例では、死亡した内縁配偶者の相続人に対しての財産分与請求権を認めていません。なお、不法行為により内縁の配偶者が死亡した場合には、生存している内縁配偶者は固有の慰謝料請求権や扶養喪失による損害賠償請求権を有するとされ、加害者に対しては請求をすることができます。





●離婚調停             ●離婚 協議書          ●夫婦の金銭・財産問題    ●親権者問題           
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