離婚の無効 離婚の取消
〜婚姻関係が続いていることを確認する〜婚姻関係を復活させる〜
●離婚が無効となる場合
当事者間に離婚する意思がないときは、離婚は無効となります(民法742条1号の類推適用)。具体的には、勝手に相手に離婚届を作成・提出されてしまった場合がそれにあたります。
離婚が無効だと主張する方法 法律上の婚姻関係をはっきりさせたい
離婚の無効は利害関係のある者なら誰でも期間制限なく、裁判をするまでもなく、主張することができます。しかし、離婚の記載のなされた戸籍を訂正するには、離婚無効の確定判決が必要とされますから(戸籍法)、結局家庭裁判所に調停の申し立てをし、当事者間で合意が成立すれば審判(確定判決と同一の効力あり)をもらう必要があります。調停で合意が得られなければ、裁判を起こす必要があります。
なお、離婚の届出が無効であることを知った上で、これを有効なものと認める(追認する)と、離婚は離婚届提出のときにさかのぼって有効となり、もはや離婚の無効を主張できなくなります。追認する旨をはっきりと示した場合は当然追認となりますが、そうでなくても相手方から提供された慰謝料や財産分与としてのお金を受領すると、離婚を黙示的に追認したと扱われます(最判昭42・12・8)ので、注意が必要です。
●離婚の取消ができる場合
詐欺・強迫による離婚は、取り消すことができます(民法746、747条)。当事者には、一応離婚する意思があったケースを想定している制度ですので、詐欺・強迫があっても、一応離婚は有効であり、取消があってはじめて離婚の効力が消滅し、元の婚姻関係が復活します。
離婚を取り消す方法
取り消すことができるのは、詐欺・強迫を受けた者だけです。また、取消ができる期間は、詐欺を発見し、または強迫を免れた後、3ヶ月以内に限られますので、早めに動かなければなりません。
なお、詐欺・強迫による離婚も、追認があると、もはや離婚を取り消せなくなります。取消す場合、まず家庭裁判所に調停を申し立て、調停で合意が得られず審判ができない場合は、裁判で争うことになります。
強迫による離婚とされる例
夫が威圧的な態度で離婚をするよう圧力をかけ続けたので、離婚届に署名・押印したケース。
詐欺による離婚とされる例
例えば、
夫の本音
夫が妻と離婚する前に、離婚したら不倫相手と再婚する約束をしている
↓
夫が妻に離婚をもちかけた理由
夫が夫の債権者から夫所有の不動産を差し押さえられそうになったので、それを免れるため、離婚をして夫所有の不動産を財産分与で妻の名義にしたい
↓
事実の経過
夫は妻と離婚し、不倫相手と再婚
という場合、
詐欺による離婚として、この離婚を取り消すことができます(長野地裁昭和46年2月26日判決)。
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