財産分与
●財産分与とは
財産分与とは,夫婦が婚姻中に協力して取得した財産を、離婚する際に又は離婚後に分けることを言います。
●財産分与の決め方
離婚後,財産分与について協議がまとまらない場合には、離婚のときから2年以内に家庭裁判所に調停の申立てをして、財産分与を求めることができます(離婚前の場合は、離婚調停の中で財産分与について協議をすることができます)。
調停手続では、夫婦が協力して得た財産がどれくらいあるのか、財産の取得や維持に対する夫婦双方の貢献の度合いはどれくらいか等一切の事情について、当事者双方から事情を聴いたり、必要に応じて資料等を提出してもらう等して事情をよく把握して、解決案を提示したり、解決のために必要な助言をし、合意を目指し話合いが進められます。
なお、合意が得られず調停が不成立となった場合には自動的に審判手続が開始されて、家事審判官(裁判官)が、一切の事情を考慮して、審判をすることになります。
●夫婦の貢献度により財産分与の割合が決まる
夫婦2人で自営業に専念していた場合
夫50% 妻50%となるケースが多いようです。
夫婦共サラリーマンの場合
夫50% 妻50%となるケースが多いようですが、家事の役割分担も考慮されます。
どちらかが専業主婦(主夫)の場合(家事労働の評価)
専業主婦(主夫)の割合は、30から50%くらいと評価されるようです。
●財産の把握とタイムリミット
婚姻中に得た財産のうちの共有財産(婚姻前から一方が有していた財産や遺産等夫婦の一方のみが有する財産を除いたもの)が分与の対象となる財産になります。具体的には結婚後取得した銀行や郵便局の預金、土地や家などの不動産、株、自動車などが分与の対象になります。反対に、嫁入り道具や結婚前の貯金などは、対象外となります。
ここで問題点が2つあります。
問題点1
離婚から2年以内に請求しないと、財産分与請求権は時効消滅してしまう。
問題点2
例えば、夫が妻の知らない預金口座を作っている場合など、妻側が夫の管理する財産の全てを把握することが困難な場合です。
裁判になっても、客観的な証拠がある分を、財産分与で分け合うことになります。
この場合、相手に隠し財産があると感じるのであれば、離婚調停や離婚裁判が始まる前に、相手の管理する預金通帳の一部や相手に対する郵便物(株の配当金の通知など)をコピーしておくとよいでしょう。預金類は、離婚裁判になったとき、裁判所に対し、調査嘱託申立(現在の民事訴訟法186条)をし、裁判所から銀行に対し回答を求めてもらい、金額を証明できる場合があります。相談者が預金関係の書類をコピーしておき準備をしておいてください。
●離婚協議書の例文
甲は乙に対し、財産分与として、後記物件の表示記載の不動産を譲渡する。甲は乙に対し、当該不動産につき、財産分与を原因とする所有権移転登記手続きをする。登記手続き費用は乙の負担とする。
物件の表示〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
※不動産を財産分与するときは、不動産の表示は権利証、登記簿謄本等で特定する。登記に必要な費用(登録免許税等)の負担をどちらがするかも、はっきりと決めておいたほうがよいでしょう。
●調停手続きの申立人
夫又は妻
●調停の申立先
相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所
●調停の申し立てに必要な費用
収入印紙1,200
連絡用の郵便切手(申立てされる家庭裁判所へ確認してください。)
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