●離婚後の年金
専業主婦や扶養範囲内でパートをしていたサラリーマンの妻が離婚をする場合、 年金のことも考えておく必要があります。専業主婦や扶養範囲内でパートをしていた サラリーマンの妻は第3号被保険者として国民年金に加入しているのですが、 夫の給与から天引きで年金保険料が支払われていて、妻は保険料を払わなくても良い 立場です。しかし離婚をすると第3号被保険者という立場ではなくなります。 20歳以上60歳までの人は、必ず国民年金制度に加入することが義務づけられている ので、無職の方やパートさんの多くの方は、第1号被保険者としての手続きと 保険料の納付義務が発生し、以後、保険料は自分で納めることになります。 平成19年度の国民年金保険料は1ヵ月 14,100円です。 この金額は、離婚をして、経済的自立が果たせない状態の母子家庭にはとても大きな 負担かと思います。そこで、市役所の窓口に免除申請をすれば、所得額に応じて 1/4から全額の4段階で保険料納付の免除を受けることができます。 詳しくは最寄りの市町村の窓口、社会保険事務所に事前に確認してください。
平成18年7月から申請免除が4段階に
これまでの全額免除と半額免除に加え、平成18年7月から4分の3免除と4分の1免除が創設され4段階の免除制度になりました。
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保険料(月額) |
全額免除 |
納付なし |
4分の3免除 |
3,470円 |
半額免除 |
6,930円 |
4分の1免除 |
10,400円 |
保険料が払えないからと言って放っておくと、「未納」になってしまい将来の年金給付要件(25年) を満たさなくなるとまずいですので、この制度はぜひご検討ください。年金加入のメリットは、老後の保障ということだけではなく、 万一の事が合った場合の死亡保障(遺族基礎年金といいます)や、予想外に重い障害を負ってしまった場合の保障(障害基礎年金)もあるのです。遺族基礎年金は母子家庭の母としては、万一の場合に、子どもに残してやれる最低限の保障であり、(但し、遺族基礎年金が受け取れるのは、子どもが18歳までですが・・)障害を負って思うように働けなくなった場合の、生きていくための保障になるのです。1ヵ月14100
円の保険料で、死亡・老後・障害の保障がついている保険と思えばそれなりのメリットがあると考えられます。そこで、保険料を払うのが大変な場合は、免除申請をしてでも「未納」状態はさけるようにしましょう。
なお、離婚後(あるいは離婚以前からでも)に自分がサラリーマンとして、勤め先の社会保険制度に加入していれば第2号被保険者として年金制度に加入をし保険料も給与から天引きされていますので、第1号に加入する手続きの必要はありません。
●離婚時の厚生年金分割について
離婚時の厚生年金の分割制度は、平成19年4月1日以後に離婚等をした場合において、離婚等をした当事者間の合意や裁判手続により按分割合(分ける割合)を定めたときに、その当事者の一方からの請求によって、婚姻期間等の保険料納付記録を当事者間で分割することができる制度です。
按分割合を定めるためには、当事者は、分割の対象となる期間(婚姻期間等)やその期間における当事者それぞれの保険料納付記録の額の総額(対象期間標準報酬総額)、按分割合の範囲等の情報を正確に把握する必要性がでてきます。
そのため、社会保険庁は、当事者の双方又は一方からの請求により、離婚時の厚生年金の分割の請求を行うために必要なこれらの情報を提供してくれます。
情報提供の内容
@分割の対象となる期間
A分割の対象となる期間に係る離婚当事者それぞれの保険料納付記録
B按分割合の範囲
Cその他
注意:事実上の婚姻関係にある方も対象になりますが、その場合、分割の対象になるのは、当事者の一方が被扶養配偶者として国民年金法上の第3号被保険者と認定されていた期間(第3号被保険者期間)に限られます。
分割ができるのは、平成19年4月1日以降に成立した離婚ですが、施行日前の婚姻期間に係る厚生年金の保険料納付記録も分割の対象とすることができます。
離婚当事者は協議により按分割合について合意した上で、社会保険事務所に厚生年金の分割請求を行います(添付書類として合意に関する公正証書等が必要です。)。
2007円4月施行の離婚時の厚生年金の分割制度について、全国の社会保険事務所や年金相談センターに、受け取れる年金額などの問い合わせが増えています。
社会保険庁によると、相談を開始した二〇〇六年十月から三カ月間の相談件数は、約一万五千件にのぼりました。社会保険事務所を訪問した相談者は七千七百八十人で、そのうち約八割が女性でした。
年金分割制度が導入された背景
これまでの年金制度では、サラリーマンの妻が専業主婦(第三号被保険者)の場合、離婚後に妻が受け取れるのは基礎年金(満額で月六万六千円)だけでした。夫はこれに加えて、払った保険料に応じた厚生年金(報酬比例部分)も支給されます。厚生年金は夫の名義になっているため、妻は受け取ることができません。
新しい制度では、4月以降に離婚した場合、夫婦の合意により、婚姻期間中に保険料を支払った分の厚生年金を分割して妻も受け取ることができるようになります。
夫が民間の会社で40年間働いて保険料を払い、その間、妻がずっと専業主婦だったというモデル世帯の場合、離婚後に受け取る年金月額は、旧制度では妻が基礎年金分の6万6000円、夫はこれに厚生年金(約10万円)を加えた16万6千円です。2007年4月以降は、厚生年金を2分の1ずつ分割することで合意した場合、妻の年金が約5万円増えて、それぞれ11万6600円ずつになります。
実際に年金を受給できるのは、原則65歳からです。従いまして、例えば、55歳で離婚して年金分割に合意しても、受け取るのは10年後になります。
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