スピード離婚(成田離婚)
成田離婚とは旅行前の空港や新婚旅行での出来事が原因でする離婚のこと。お見合い結婚のため、新婚旅行で相手の意外な一面を知り離婚に至るというケースや、海外旅行慣れした新婦と仕事に追われ新婚旅行が初の海外という新郎が新婚旅行で、新郎の旅行の段取りの悪さに愛想をつかし、新婦が帰国後離婚を切り出すといったものもある。
1997年には、草なぎ剛と瀬戸朝香主演で『成田離婚』(フジテレビ)という連続ドラマもあり話題となりましたが、現在は『成田離婚』という表現よりも、『スピード離婚』という言葉で表現されることが多くなっています。
新聞やテレビの芸能ニュース等で、表現されることが多く、『1年○ヶ月で離婚』という場合の代名詞として使われています。
ここで、スピード離婚に関連した、裁判があります。(最判昭39・9・4)
挙式後8ヶ月あまり夫婦生活を続け、婚姻届も提出していたが、性格の不一致、親族との人間関係を理由に協議離婚となった事例です。元妻側は嫁入り道具類の引渡しを求めて訴えを起こしました。これに対し、元夫側は、結納金の支払いを求めて反訴を提起しました。裁判はもつれ、最高裁判所までいきました。裁判所の結論としては、元夫側は、元妻側に嫁入り道具類を引渡せとしました。これは嫁入り道具は、元妻の固有財産なので、元妻に返せということです。
注目されたのは、元妻は元夫に結納金を返還しなければならないかという点です。これについて、最高裁は、元妻は結納金を返還すべき義務はないという判断を出しました。その理由を次のように述べています。「結納は、婚約の成立を確認し、あわせて婚姻が成立した場合に当事者ないし当事者両家間の情誼を厚くする目的で授受される一種の贈与である」とし、「挙式後8ヶ月余も夫婦生活を続け、その間婚姻の届出も完了し、法律上の婚姻が成立した場合においては、すでに結納授受の目的を達した」からということが述べられています。
(まとめ)
法律上の夫婦が8ヶ月余夫婦生活を送ったという事例では、原則、結納金返還義務はないと判断されたわけです。
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